研究・教育

昭和デジタル・アセット・アーカイブの理念、教育方法、デジタル環境の参照枠、開発者向け指針。

2025年12月15日 プロジェクト・ディレクター:クリストファー・ガーテイス(Dr. Christopher Gerteis)

近現代日本の物質文化遺産を、触れられる形で残す

昭和期(1926–1989)の日常生活をかたちづくったモノを、3Dデジタル・オブジェクトとして収集し、研究と教育に供する公開アーカイブを構築しています。

3Dデジタル化は、写真やテキストに回収されがちな「日用品」を、スケール、触感の痕跡、使用による摩耗、修理痕、素材の反射といった物質的情報として再提示します。そうした情報は、近代化、消費文化、労働、家庭、移動、災害と復興といった昭和史の大きな変化が、具体的に「どのようなモノの体系として生活に入り込んだのか」を問い直すための入口となります。本アーカイブは、文化財保護の専門家、博物館・自治体の関係者、研究者、教育者、そしてデジタル制作に関わる実務者との共同によって、20世紀日本の物質的遺産が散逸し、再利用の際に歴史的文脈を失うことを抑止することを目指します。


ミッション(実務上の三つの主張)

本プロジェクトは、次の三点を単なる理念ではなく、設計と運用の実務要件として扱います。

1. 社会的インデクシング:台所用品、家具、看板、工具、家電、工業製品といった「ありふれたモノ」は、生活実践を記録し、日常の編成が時間の中でどのように変化したかを指標化します。

2. ノスタルジーへの対抗:没入型技術や3Dモデリングは、表層的な「懐かしさ(natsukashii/懐かしい)」に回収されがちな過去像に対し、物質の状態や手触りの差異を通じて、より複層的で矛盾を孕む歴史記録を提示し得ます。

3. 説得力ある世界構築:教育、展示、エンターテインメントを問わず、仮想復元が一般化する現在、その叙述的・感情的な力は「信用できるアセット」に依存します。物語の説得力は、細部の物質性に支えられます。

本アーカイブは、単一の「昭和像」を固定しません。むしろ、モノが持つ地域差、階層差、用途の差、そして使用と劣化の痕跡が示す時間差を、研究と制作の両方で読み解けるようにすることを優先します。

物質文化を、デジタルで教える

昭和を「テキスト」だけで理解するのではなく、人々が使い、住み、修理し、捨て、引き継いだモノを通じて理解することは、人文学にもデザイン教育にも共通する強い学習回路になります。

3Dデジタル・サロゲートは、二次資料ではなく一次資料として扱えます。学生は、写真の受動的な閲覧から離れ、回転、拡大、角度変更によって、形態、機能、摩耗、汚れ、補修、素材の接合といった情報を能動的に問い直します。こうした操作は、物質文化研究における「観察可能性」の訓練であると同時に、3D制作における「歴史的妥当性」の訓練でもあります。


なぜ3Dなのか

1. スケールの把握と身体との関係

要点:戦後環境の寸法を、身体経験として理解すること。

応用:畳(tatami/畳)を単位として室内を計測し、家具や家電が配置されることで、生活の姿勢や動線がどのように規定されるかを検討します。例えば、こたつ(kotatsu/炬燵)は暖房器具であると同時に、家族の集合や滞在の時間を編成する装置でもあります。

2. 技術史とデザイン史の交差

要点:戦後の工業化と家電化が、家庭内の労働と余暇をどのように再編したか。

応用:テレビ、冷蔵庫、ステレオといった「豊かさ」の指標が、広告や統計以上に、生活空間の中心や会話の配置をどう変えたかを読みます。ここでは「モノの表象」よりも、モノが要求する配線、置き場所、視線、音量、収納の仕方を分析対象にします。

3. 保存とアクセスの倫理

要点:脆弱な資料を損なわず、地域・国境を越えて検討可能にすること。

応用:展示ケースでは見えない裏面や接合部、素材の摩耗、修理痕を、遠隔地からも確認できます。これは「触れない」ことの代替ではなく、触れられない条件そのものを前提に、観察のプロトコルを設計する訓練です。

授業方法:「モノを読む」ための手順

本アーカイブの利用にあたり、ジュールズ・プロウン(Jules Prown)の物質文化分析の手順を、3D操作に合わせて改変することを推奨します。

  1. 記述(Description):何が見えるか(素材、寸法、形状、摩耗、汚れ、欠損)。まず観察可能な事実に限定します。
  2. 推論(Deduction):どのように使われたか。身体はどのように動かされるか(例:座卓は床座の姿勢を要求する)。
  3. 解釈(Speculation):そのモノが示す価値観、規範、技術条件は何か(例:家電化が家庭内労働の再配分とジェンダー化をいかに促したか)。

ヘリテージとエンターテインメントにおける「昭和」のデジタル表象

昭和(1926–1989)は、博物館のデジタル展示からゲームやソーシャルVRまで、多様なデジタル環境で再演されています。そこで鍵になるのは、物語の魅力だけではなく、物質的細部がつくる「信憑性」の設計です。


教育・アーカイブ領域の取り組み

日本国内の博物館や自治体、大学研究機関は、昭和期の生活環境や記憶を、VRや3Dモデル、パノラマ画像で提示する試みを進めています。ここで重要なのは、単に「懐かしさ」を喚起するのではなく、戦争、復興、高度成長、都市改造といった異なる時間層を、具体的な生活用品や空間の配置として可視化する点です。

昭和館(しょうけい館ではなく昭和館) Virtual Showa-kan

戦中・戦後の民間人の生活と苦難に焦点を当てる東京の昭和館は、展示フロアの360度パノラマを用いたバーチャルツアーを提供しています。軍事史中心ではなく、民間の経験を伝える点に特徴があり、生活史と記憶の保存という本アーカイブの問題意識と接続します。

松戸市立博物館 松戸デジタルミュージアム「常盤平団地」VR

1960年代の団地(danchi/団地)住戸を、家電や家具の配置を含めて再構成するVRコンテンツです。居間の中心、家事動線、収納の仕方などが、生活の規範と結びついていたことを、空間として理解させる点で教育効果が高い事例です。

1964年東京VR「タイムマシン」プロジェクト

2018年にクラウドファンディングを基点として開始された取り組みで、1954–1974年頃の写真資料を集積し、1964年東京の都市景観を3D化する試みです。大量の視覚資料から都市の形を立ち上げるプロセスは、史料批判と制作手続きが不可分であることを示します。

立命館大学 アート・リサーチセンター Virtual Kyoto(4D Historical GIS)

地図・航空写真・歴史資料を統合し、時間軸をもつ3D都市モデルとして京都の景観変遷を提示する研究プロジェクトです。昭和期の空中写真を重ねることで、戦後復興と都市計画の痕跡を「景観の層」として読ませることができます。

森記念財団 東京タイムマシン・プロジェクト(銀座VR)

江戸(1850)、明治(1910)、昭和(約1940)の銀座四丁目を再構成し、時代間の連続と断絶を体験可能にするプロジェクトです。史料(地図、写真、文書)の組み合わせによって、看板、交通、建築の細部を積み上げる方法は、信憑性の設計が一次資料の扱いに依存することを示します。

広島 復元VR(平和公園周辺のVR体験)

被爆前後の都市空間を再構成するVR体験は、戦争記憶を伝達する装置として位置づけられます。証言や写真を参照しつつ、視覚化の限界と倫理を授業内で検討する素材にもなります。

昭和デジタル・アセット・アーカイブ(本プロジェクト)

本アーカイブは、昭和期の日常物質文化を高精細な3Dモデルとして収集し、研究と教育、展示、制作の現場に提供することを目的とします。ハシマ(端島、軍艦島)のように、環境劣化によって物質資料が失われつつある場所では、アセット化が保存と研究の双方に関わる基盤作業となります。

これらの事例は、パノラマ、VR、3Dモデル、GISといった技術が、昭和の生活史や記憶を多層的に保存するために用いられていることを示します。同時に、どの細部を残し、どの細部が欠落するのかという選択が、歴史叙述そのものを形成する点を確認する必要があります。


ゲームと仮想世界における昭和

一方で、昭和は商業ゲームやユーザー生成の仮想世界においても、魅力的な舞台として再構成されます。ここでは、教育的価値と商業的欲望、歴史的配慮と暴力的スペクタクルがしばしば緊張関係に置かれます。

『龍が如く0 誓いの場所』(セガ、2015)

1988年(昭和63年)の東京・大阪を参照し、バブル期の都市景観と消費文化を濃密に再現する作品です。看板、ゲームセンター、レンタルビデオ、服飾、夜の光環境といった細部は、歴史の「空気」を作る一方で、暴力と娯楽の文法の中に組み込まれます。授業では、細部の「もっともらしさ」と、物語の政治性の関係を検討できます。

Shenmue(セガ、1999)

1986年(昭和61年)の横須賀を舞台に、生活のリズムや町の反復的な営みを、オープンワールド的な設計で体験させた作品です。自販機、駄菓子屋、ガチャ、近隣住民の生活動線といった「平凡な要素」が、時代感覚の核になっている点が重要で、史料としての「日常ディテール」をどう扱うかを考える素材になります。

参考:Shenmue WikiThe Guardian(2014)SeSeSega(はてなブログ、日本語)

『ぼくのなつやすみ』ミレニアムキッチン、2000)

1975年(昭和50年)夏の農村生活を、戦闘や大事件ではなく、虫取り、縁側、風鈴、家の匂いといった感覚の連鎖として提示するシリーズです。ここでは「昭和のノスタルジー」が、風景の細部と反復行為によって成立している点が重要で、授業では、ノスタルジーが何を隠し、何を強調するのかを問い直せます。

VRChatにおけるユーザー生成の昭和空間

VRChatでは、昭和風の路地、古いアパート、飲食店、商店街などを模したワールドが多数制作されています。NetflixのAsakusa Kidのプロモーションとも接続した「バーチャル浅草」的な演出が流通し、同様の都市ノスタルジーはMidnight Diner: Tokyo Storiesのような配信作品とも共鳴します。社会的交流と展示が同一空間で起きる点は、教育利用においても重要です。

Showa American Story(NEKCOM、開発中)

昭和期の日本的記号を、暴力的なオルタナティブ・ヒストリーの装置として利用する市場志向の事例として言及します。昭和の物質文化や視覚記号が、歴史的説明責任を伴わずに「様式」のパーツとして切り出され得ることを示す点で、本アーカイブが目指す方向性(歴史的文脈の付与、資料批判、引用倫理)を逆照射します。

コンテンツ注意:全年齢向けではなく、職場閲覧にも不適切となり得ます(流血、強い暴力、部分的ヌード、性的表現、強い言語表現、飲酒)。

ヘリテージ領域の「記憶の保存」と、娯楽領域の「感情の演出」はしばしば同じ技術を共有します。しかし、両者の目的と倫理は一致しません。本アーカイブは、制作に資することを否定しませんが、制作が歴史的妥当性と引用倫理に基づくことを、明示的な設計要件として求めます。

開発者・技術責任者向け

本アーカイブは、軽量でアクセス可能なメタデータ設計を優先し、アセット本体は外部ホスティング(例:Sketchfab)を活用します。ここでいう「信用できるアセット(Credible Assets)」とは、見栄えの良さだけではなく、制作・研究・教育で再利用可能な再現性と参照性を備えたデータを指します。

1. 推奨フォーマット
  • glTF / GLB:Web実装に適し、PBR素材の運用が容易です。
  • OBJ / FBX:アーカイブ用途のジオメトリとして受理します(テクスチャ同梱が前提)。
2. ビューイング基準

多くのアセットは、Sketchfab等で閲覧できる形式を採用します。WebGLによるブラウザ内操作(回転、ズーム、パン)を前提に、授業内で「観察の手順」がそのまま反復可能であることを重視します。

実装上の注意

  • 外部アセットの利用は、必ず作者クレジット元URLを保持してください(引用方法は「引用」タブ参照)。
  • 授業利用では、リンク切れや権利変更に備え、授業計画内に「代替アセット(類似物)」の候補を持つことを推奨します。
  • アセットは「文化」を一枚岩に表象しません。メタデータ(時期、場所、用途、素材)によって、差異と矛盾を可視化してください。

授業案とモジュール(Lesson Plans & Modules)

以下は、学部上級から大学院導入レベルの「日本近現代史」「物質文化研究」「STS(科学技術社会論)」「デザイン史・制作系演習」を想定したモジュール案です。いずれも、カタログを一般的に眺めるだけでは到達しにくい「一次資料としての3Dアセットの読解」を中心に設計しています。

この演習が人文学とデザイン双方に重要である理由

人文学にとって、3Dアセットは「文章化される前の資料」です。寸法、素材、摩耗、補修、欠損といった情報は、統計や回顧談話では捉えにくい生活実践の痕跡です。デザイン教育にとって、3Dアセットは「歴史的制約を伴う制作素材」です。時代に即した形状や素材の説得力は、参照の仕方(史料批判、引用、文脈付け)に依存します。両者を接続することで、学生は「見た目の昭和」から「歴史としての昭和」へ、制作と分析を同時に進められます。

各モジュールのアセットは、可能な限りアセット本体(元URL)へ直接リンクしています。追加例の探索には、カタログで検索し、同類の物品や地域差のあるバリエーションを学生自身に提案させてください。


モジュール1:「明るい生活」と消費社会(1955–1970)

主題:家電化と中間層の形成。テレビ、冷蔵庫、オーディオが、家庭内の視線、会話、余暇、ジェンダー化された労働をどう再編したか。

学習目標
  • 家電が家庭空間の「中心」をどこに作ったか(茶の間(chanoma/茶の間)と居間の競合)を、配置と動線から説明できる。
  • 「省力化」が、家庭内労働の実態とジェンダー規範をどう変えたか(変えなかったか)を、モノの要求(設置、維持、掃除、配線、収納)から論じられる。
  • 広告や統計ではなく、物質的細部(寸法、重量感、素材、摩耗)から「普及」と「格差」を読み解ける。
授業内活動:「仮想茶の間(Virtual Chanoma)」

グループごとに、TV、冷蔵庫、ステレオ、こたつを「一つの生活時間割」として配置します。ポイントは美術的構成ではなく、(1) 視線の方向(TV中心化)、(2) 音の発生源(ステレオの占有)、(3) 体の姿勢(床座と椅子座の混在)、(4) 家事動線(冷蔵庫へ向かう経路)を、説明可能な図として提出させることです。最後に、同じ構成を「別の階層」や「別の住居形態(下宿、社宅、団地)」へ移した場合に、どのモノが成立しにくくなるかを議論します。

振り返り(短い課題)

「豊かさ」を表すモノを一つ選び、(a) それが必要とするインフラ(電気、配線、修理、部品供給)、(b) それが可視化する労働(掃除、買い物、調理、余暇管理)、(c) それが隠すコスト(廃棄、更新、格差)を、400–600字で整理させます。


モジュール2:住空間の再編と標準化(1950s–1960s)

主題:戦後の住宅難、都市への人口集中、住宅の標準化が、住まいの内部構成(和室と洋室のハイブリッド)をどう作ったか。1964年東京オリンピックは都市インフラの象徴として語られがちですが、その効果は「外部の大規模構造」だけでなく、住まいの内部に入ってくる部材と規格の変化としても検討できます。

学習目標
  • 町家(machiya/町家)の空間論理と、モジュール化された室内部材が示す「標準化」を比較できる。
  • 畳の規格と部屋寸法の関係を、図面ではなく3Dの計測と視認性から説明できる。
  • 都市改造を、道路や高架だけでなく、住宅内部の部材、壁面、間仕切りの変化として捉え直せる。
授業内活動:「スクラップ・アンド・ビルド(sukurappu ando birudo/スクラップ・アンド・ビルド)の室内版」

町家モデルを基準として、畳室(tatami room)とモジュール壁セットを使い、(a) 伝統的な奥行きの配置(通り庭、間口と奥行きの関係)を維持した場合、(b) 標準化された部材で迅速に「新しい室内」を作る場合、それぞれで生活動線と視線がどう変わるかを比較します。議論では、標準化が「貧困の結果」か「近代化の達成」かという二分法に落とさず、工期、資材供給、修理可能性、住み替えの頻度といった条件を含めて評価させてください。

追加探索(カタログ利用)

カタログで、台所設備、照明、電話、収納などのアセットを追加し、同じ部屋が「誰の生活」を想定しているのかを再設定させます。例えば、固定電話や流し台の配置は、通信と家事の結節点として、室内の権力配置を可視化します。


モジュール3:エネルギーと労働(石炭から石油へ)

主題:高度成長の「明るい生活」が拡大する同時期に、エネルギー転換(石炭から石油へ)によって、炭鉱労働と産業都市がどのように周縁化されたか。ここでは、勝者の物質文化と敗者の物質文化を、同一の分析枠で比較します。

討議:「見えない労働者」

モジュール1の家電と見比べながら、炭鉱空間と作業装備が示す身体の制約(重量、視界、危険、反復動作)を分析します。重要なのは、「産業の象徴」としての炭鉱ではなく、(a) 装備の摩耗が示す作業の反復、(b) 坑道の寸法が示す身体の圧縮、(c) 建物セットが示す労働の集団性と統治(宿舎、施設、移動)を読み解くことです。最後に、同時代の都市家庭のアセットが「清潔さ」を演出するのに対し、炭鉱アセットが「汚れ」を不可避として抱える点を、価値判断ではなく物質条件として記述させます。

短い比較課題

学生に、家電(TVや冷蔵庫)と労働装備(ヘルメットや掘削工具)を一つずつ選ばせ、両者が要求する「維持」の体系(電力、修理、部品供給、身体のケア、事故対策)を比較させます。高度成長を「消費の物語」から「維持の政治経済」へ引き戻すことが目的です。

引用ガイドライン

本アーカイブを通じて見つけたアセットを論文、スライド、展示、制作物に利用する場合、原則として3Dモデルの原作者元URLを明示してください。本サイトは「発見と文脈付け」の入口であり、著作権や利用条件は原プラットフォームの規約に従います。

アセット引用形式(例):
[Creator Name]. ([Year]). [Title of Model] [3D Model]. Retrieved from [URL].

本アーカイブ自体を引用する場合:
Gerteis, Christopher. (2025). Showa Digital Asset Archive. SOAS University of London. Retrieved from https://ckgerteis.github.io/showa-digital-asset-archive/

参考文献(授業用の最小限の導入)

  • Yoshimi, Shunya 吉見俊哉. Banpaku no seiji keizaigaku 万博の政治経済学 [The Political Economy of Expositions]. Tokyo: Kōdansha, 1992.
  • Garon, Sheldon. Molding Japanese Minds: The State in Everyday Life. Princeton: Princeton University Press, 1997.
  • Gordon, Andrew. A Modern History of Japan: From Tokugawa Times to the Present. Oxford: Oxford University Press, 2003.
  • Sand, Jordan. Tokyo Vernacular: Common Spaces, Local Histories, Found Objects. Berkeley: University of California Press, 2013.